例年8月に東京で行われている「ハクジュ・ギターフェスタ」の委嘱で書かれ、当イベントでプロデューサーを務めるギタリスト、荘村清志と福田進一のデュオに献呈、初演された〈ハクジュ・パルス〉は、エネルギッシュな主部と感傷的な中間部からなる6分強の作品です。冒頭からプラルトリラーの装飾音が強迫的に使われており、この一定の鼓動(パルス)が曲全体を支配していると言えます。交互に弾き合うアルペジオで始まる中間部は、ハーモニクスを多用しながら2台のギターが複雑に絡み合い、やがて感傷的なメロディーへと繋がっていきます。そして徐々に鼓動を取り戻しながら主部へと帰り、最後は弾(はじ)けるようにして劇的に終わりをむかえます。