クラシックはもちろん、ジャズ、タンゴ、シャンソン、ロックなどさまざまな音楽を下地に作品を書き綴ったディアンスが、とりわけシンパシーをもっていたと思われるのがブラジル音楽ですが、最初期の作品《3つのサウダーヂ》(1980年)は、彼のバックボーンをもっともよく表していると言えます。
ヴィラ=ロボスが得意とした「ショーロ」の形式で書かれた第2番「ショリーニョ」は、彼の夫人アルミンダに捧げられています。ディアンスらしい洒落たハーモニーとショーロ特有のリズムがほどよいバランスで組み合わされており、派手さはないもののの、ディアンスの音楽性を十二分に感じさせる佳作と言えます。