作曲家としてのみならず編曲家としてもその才能を発揮したディアンスは、26曲ものシャンソンを編曲し、2冊の曲集および2枚の自演のCDを発表しています。そのなかでもとりわけ演奏される機会が多いのが、最も人気のあるシャンソンのひとつであり、「シャンソンの女王」エディット・ピアフの歌で有名な〈愛の讃歌〉です。日本でも越路吹雪をはじめ数々の著名歌手によってカバーされてきました。
ギターでは弾きにくい、原曲通りの変ホ長調で編曲されていますが、ディアンスは6弦を半音下のEフラットにするという珍しい変則調弦を用いることによって、オリジナルの雰囲気を活かしたまま、ギターらしい音響効果を引き出すことに成功しています。また最後に現れるテーマでは、ピアフの「ちりめんヴィブラート」を模したトレモロ奏法が一瞬聴かれます。